今回の教材に使ったコラムは,広東語の 「粗口」 や 「俗語」 がテーマでした。
筆者によると,
『北方人聽我o地廣東人講嘢覺得真係難聽,個個都粗粗嘅好似喺互鬧咁様。』
(北方の人は,我々広東人の言うことは本当に聴きづらく,荒っぽくて,まるで罵り合っているみたいだと言う)
さらに,
『我都同意,廣東話要字正腔圓就要好用力嘅講,所以聴o黎都唔溫柔。』
(私もそう思う。 広東語ははっきりと力をこめて話さないといけないので,やさしく聞こえないのだ)
『廣東話雖然唔好聽但係好啜核,尤其係廣東粗口,北方粗口好似冇廣東粗口咁
到肉。』
(広東語は耳にやさしくはないが,的を得た表現がある。特に粗口(※)はそうだ。 北方の言葉の粗口は広東語に比べてあまり鋭くない)
「粗口」 【chou(1) hau(2)】 : 下品なことば,表現,悪口,罵り言葉
最後の 「・・・到肉」 は 「針唔拮到肉唔知痛」 ということわざからきた表現。
「針を肉体に刺さなければその痛みはわからない」 → 「自分が身をもって体験しなければ,(他人の)苦しみを理解することはできない」
そして筆者はいくつかの 「粗口」 や 「俗語」 を紹介しています。
● 「麻甩佬」 【ma(4) lat(1) lou(2)】
「スケベ親父」 の意味。ほかには 「鹹濕佬 【haam(4) sap(1) lou(2)】」 という言い方もあります。
「麻甩佬」 は,もともとは相手を侮辱する粗口だったそうです。「麻」 は 「披麻帯孝」 (肉親,特に親が亡くなった時に,麻布をかぶって喪服を着る)の 「麻」 で,「甩」 は 「脱ぐ」 の意。 つまり,「喪服を脱いだばかりの奴」 → 「親を亡くした不幸な奴!」 という粗口。
● 「水瓜打狗」 【seui(2) gwa(1) da(2) gau(2)】
「ちょっと損をした」 「(ものが)半分ほど無くなった」 の意味。 「唔見一節/截」 と同じ。
そのままの意味は 「水瓜で犬を叩く」 ですが, 崩れやすい水瓜で犬を叩くと,すぐに割れて半分くらいがなくなってしまうことから。
● 「芝麻緑豆」 【ji(1) ma(4) luk(6) dau(2)】
「小さなこと,取るに足らないこと,ささいなこと」
「芝麻」 は 「ゴマ」。 こんな名前のデザートもあったような気がします(^^)
● 「神枱桔」 【san(4) toi(4) gat(1)】
「元気がない,憔悴している,干からびている,不景気である」
「神棚のミカン」 はお供えして放っておくと,だんだん干からびてくるので。
● 「剥殻蛋」 【mok(1) hok(3) daan(6)】
「つるつる,すべすべ」
文字通り,殻をむいた卵のよう,という意味。
筆者が 「點解要用呢o的表現咩?」 (なぜこう言うのかわからない) と書いているのが
「熱到隻狗咁」 (犬のように熱い), 「凍到隻鶏咁」 (鶏のように寒い,冷たい),そして 「冬瓜豆腐」 です。
「冬瓜豆腐」 【dung(1) gwa(1) dau(6) fu(6)】 は,こんなふうに使います。
「我有乜冬瓜豆腐嘅話,請你照顧我個仔,好唔好呀?」 (私にもしものことがあったら,子供のことよろしくね)
「有乜冬瓜豆腐」 で 「不慮の事で死ぬ」 という意味。 しかし,なぜに 「冬瓜豆腐」???
これはあとで辞書を引いて判りました。
昔は,お葬式の後に精進料理を出すのが慣わしで,そのときに冬瓜や豆腐を使った料理が多かったため,人の死と結びつけられたようです。
さすが広東語,なんでも 「食」 に結びつく発想なのですねぇ。